治療の期間・流れ
治療期間について
「矯正治療の治療期間の目安を教えてください」
カウンセリング時に多い質問が治療期間についてです。個人差がありますが、一般的な治療期間は2~3年程度といえるでしょう。
短期間の治療にはデメリットがあります
歯の動く範囲は1ヶ月に1mm程度とごくわずかです。それ以上歯を無理に動かそうとすると強い痛みが生じ、歯根や歯槽骨への損傷を与えます。
一度傷ついた組織は元に戻ることはありません。これは矯正治療の基本です。そしてかえって治療期間が長引いてしまいます。患者さんの身体に負担を与えないためには、ゆっくり時間をかけて動かさなければなりません。そのため、最低でも2~3年程度必要です。
大切なことは、早く歯を動かすことではありません
大切なことは、早く歯を動かすことではありません。一生涯、自分の歯で過ごせる歯を作ることです。長い矯正ライフを楽しんでいただけるよう、患者さんと二人三脚で治療を進めますので、最後まで頑張りましょう!
なお、結婚式前や留学などでお急ぎの方は、一度ご相談ください。可能な治療方法をご提案いたします。
※治療期間は個人差があります。毎月きちんと通院していただいた方の目安です。
治療の流れ
1.カウンセリング(3,300円)
歯並びや噛み合わせで気になっていることやお悩みを詳しく伺います。お口の中を見せていただいた後、歯並びの問題点や一般的な矯正治療の流れ、費用について分かりやすくご説明いたします。
2.精密検査
顎の成長のバランスや位置関係、歯の状態を知るためにレントゲン写真、歯型、顔やお口の写真、顎の動きを検査します。また、当院の特徴である、顎の関節の状態を見るためのCTを必ず撮ります。
3.診断・治療計画の説明
精密検査の結果をご報告し、考えられる治療の選択肢をご説明いたします。それぞれの治療方針・期間、メリット・デメリット、費用についても詳しくご説明いたします。治療へのご希望や疑問・ご不安などをお聞きして納得いただいた治療法で矯正治療を進めます。
4.治療
矯正装置を装着します。装置を装着したら1ヶ月に一度来院していただき、ワイヤーの交換や矯正装置の調節をしながら歯を動かします。また、来院毎に歯磨きの練習や歯のクリーニング(PMTC)を行い、虫歯や歯周病の予防をしながら治療を続けます。
5.メインテナンス
治療が終了してからが一番大切です。美しい噛み合わせをキープするために半年もしくは1年に1回は必ずメインテナンスをしましょう。
(1)噛み合わせの調整
どんなにきれいに歯が並んでいても、上下の歯が均等な力で接触していなければ長い期間の噛み合わせの安定は得られません。強く当たりすぎている歯から動き出すことがあり、定期的に噛み合わせのバランスをチェックする必要があります。強く当たるところは、歯の表面を数ミクロン程削って調整します。
(2)歯、歯周組織のチェックとクリーニング
歯や歯周組織(歯茎、歯槽骨)が健康な状態でなければ、歯は動きやすく長い期間の噛み合わせの安定は得られません。定期的に歯科衛生士さんのクリーニングを受けることで美しい噛み合わせをキープしましょう。
(3)リテーナー(保定装置)の調整
長い間リテーナーを使用していると、歪んだり緩くなったり、はまらなくなることがあります。その状態の装置を口の中に入れ続けることは噛み合わせを壊す原因になります。リテーナーも定期的なチェックが必要なのです。なくしてしまったら作り直しますので、すぐにご連絡ください。
矯正装置(ブラケット)の除去からメインテナンスまでの流れ
1.歯列の後戻りを防ぐための装置「リテーナー」を作るためにお口の中の型取りを行います。(所要時間:1時間程度)
2.お口の中の矯正装置を全て外し、きれいにクリーニングした後「リテーナー」をセットします。
このリテーナーは食事以外の24時間はなるべく装着するようにお願いしています。(所要時間:2時間程度)
3.装置が取れた後の噛み合わせや、顎の関節の状態が改善されているかどうかを確認するため、最終的な検査を行います。(所要時間:2時間程度)
矯正装置を装着します。装置を装着したら1ヶ月に一度来院していただき、ワイヤーの交換や矯正装置の調節をしながら歯を動かします。また、来院毎に歯磨きの練習や歯のクリーニング(PMTC)を行い、虫歯や歯周病の予防をしながら治療を続けます。
<検査内容>
- 側面セファロレントゲン撮影
- 正面セファロレントゲン撮影
- パノラマレントゲン撮影
- 顎関節のCT撮影
- マウント模型作製
- 顎運動の計測
4.お口の中のチェックと前回の検査結果のお話をさせていただきます。未成年の方はもちろん、ご希望の方はご家族の方と一緒にご来院ください。(所要時間:1時間半程度)
5.3ヶ月間隔の定期メインテナンスに入ります。来院日にはお口の中のチェックと、リテーナーをきれいに研磨したりします。また、患者さんからも何か気になる点などございましたら、ぜひお話しください。(所要時間:30分程度)
歯を動かした後に使う保定装置について
取り外しできるタイプ
●ポジショナー(TP)
矯正装置によって歯を動かす段階は終わりましたが、装置では動かせなかった最後の微調整を行うことがポジショナーの目的です。この装置により、さらに良い機能的な噛み合わせが完成します。
ポジショナーは取り外し式ですから、患者さんの協力が必要です。できる限り長い時間ポジショナーを入れるようにしましょう。そしてポジショナーを入れている間は、次に説明する3分間エクササイズをできるだけ行ってください。ただし、顎に痛みを感じたときは、無理をせず様子をみてください。
<3分間エクササイズ>
ポジショナーをはめたまま、10秒間強く噛む、緩める、強く噛む動作を3分間繰り返し行う運動です。
<ポジショナー装着時間の目安>
初めの3日間:24時間
4~7日目:日中(8時間)+夜間(8時間)
8~21日間:日中(4時間)+夜間(4時間)
※あくまでも目安ですが、できるだけ守るように心がけてください。初めての3日間は、食事と歯磨きの時以外はポジショナーがお口の中に入っている状態です。
●リテーナー
完全に歯を動かす段階が終わると、この装置を装着します。初めの1年目は食事以外の24時間です。2年目からは在宅時と就寝時に装着します。
<注意すること>
- リテーナーを乾燥させない(常温の水に浸けておく)
- ナプキンで包まない(うっかり捨てるもとになります)
- ポケットの中に入れない(壊す原因になります)
- 置きっぱなしにしない(犬や猫は美味しそうだと思うでしょう)
- 入りづらくなったり、壊れたらすぐ電話しましょう(歪んだり、入りづらくなった物を無理に装着しようとすると、歯並びの後戻りの原因になります)
取り外しできないタイプ
後戻りしやすい下の顎の前歯の裏側に固定するタイプ。取り外せないので歯と歯の間をよく磨き、歯石が溜まらないようにしましょう。
矯正歯科治療に伴う一般的なリスクや副作用について
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2週間で慣れることが多いです。
- 歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
- 装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
- 治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けることが重要です。
また、歯が動くと隠れていた虫歯が見えるようになることもあります。 - 歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきが痩せて下がることがあります。
- ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
- ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
- 治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
- 治療中に「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
- 様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
- 歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行う可能性があります。
- 矯正装置を誤飲する可能性があります。
- 装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
- 装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
- 装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)や虫歯の治療(修復物)などをやり直す可能性があります。
- 顎の成長発育により咬み合わせや歯並びが変化する可能性があります。
- 治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。
加齢や歯周病等により歯を支えている骨が痩せると咬み合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。 - 矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。